京急の鉄道模型を作っているとき書くよ。 面白い床下機器を見つけたとき載せるよ。 東杏電機製造(トウキョウデンキセイゾウ)のお知らせをするよ。
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昨夜3/3マルヨに、京急新1000形の新しい番台区分である20次車・1890番台が総合車輌製作所を出場しました。
 
・・・とのことです。私は遠い地で報告を聞いただけなので(

1890番台については、'21年1月20日付の電鉄公式プレスにて導入が発表されており、主なPRポイントとしては自動回転式座席やトイレ,コンセントの設置だそう。
車両システムは当初、既存のステンレス車1800番台4連に毛が生えた程度のものなのかなーとも思っておりました。

のですが!実際に出てきた現車を見てみると、搭載機器類や車両システムが原形をとどめないほどに一新されておりまして。
現地勢の友人から情報を有り難く頂戴しましたので、見れたもしくは推測できた範囲で床下機器艤装をまとめ&考察してみましたよっと。


◆床下機器配置 1890-1号車&1890ー4号車

 
1890-1号車が浦賀方先頭車、1890-4号車が品川方先頭車で、台車間の床下機器配置を図にしました。
従来の銀千4Vの先頭車と比較してかなり身軽な外観になりました。
具体的にはSIVとIVT、それからCPがなくなっています。

但し蓄電池箱は存置されており、充電に関連する機器である整流装置やDC-DCコンバータもそのまま。
機器単体の外観上従来の銀千と変わり無さそうなので、補助電源システムは今回も東芝製なのでしょうか。

そのほか気になるところとしては、MBSA作用装置の筐体が変更されています。

今までのKH98系やKH16系と比較すると横長になりました。
京急のインバータ制御車に独特だった「しゃおー!」の緩解音も今回から変わっており、バルブ類や配管などの変更も推測されます。

それから筐体の左端に付いているのは・・・不緩解表示灯でしょうか?

こちら600形のMBSA作用装置に付いている不緩解表示灯。
リセットボタンとランプが縦に並んでる縦長の箱、たぶん同じやつだと思うんですよね。

それからモニタ装置、これには今回どんな機能を持たせてるんでしょうか。
銘板とか裏側とか詳しく見てみたいところです。


◆床下機器配置 1890-2号車

浦賀方から数えて編成中2両目の中間車です。
中央台枠のうち浦賀寄半分をCP関連の機器類が、品川寄半分を主回路装置とその他いつメンがそれぞれ占有しています。
っていうかかなーりぎっちり詰まってますねw


海側でCMCを挟みながらずらりと並ぶ140Lタンク(かな?)も壮観です。
裏側に当たる山側はCPのデュエット。
フランジ塗油器を付けた6Vが搭載するクノールブレムゼ製VV180系っぽく見えますがさて。
次の記事でこのタンクとCPについて考察してたりします。

それよりもですね、VVVF装置が新型なのですが、

他のアングルの写真とか動画とか見ても、パワーユニット1個だけなんですよね。
んで見た目とか音とかから東洋製でハイブリッドSiC素子のやつと推測されるんですけど、これインバータ装置として1C4Mの1群タイプなのかなって。
・・・ちょっとこのハナシは後回しにしましょう(


◆床下機器配置 1890-3号車

浦賀方から数えて編成中3両目の中間車です。
品川寄は1890-2号車を踏襲していますが、浦賀寄の機器類が補助電源装置へ変更されてます。

SIVは中央の点検カバーにでっかく赤文字で >>TOSHIBA<< って書いてあって笑っちゃいましたw
別に書いてなくてもカバーの取っ手がいつものやつなので、弊ブログ読者の諸兄ならパッと見でメーカ分かると思います。
だいぶ大柄な筐体ですが、今トレンドな待機二重系とかになっているんでしょうか。

パンタグラフはこのクルマに2基搭載されておりまして、他車の主回路装置へ母線を引通す関係でPMSが付いています。
600形4次車の東洋車にそっくりな、やたらと縦長のやつです。
ひだまりスケッチの校チョー先生の顔描きたい。



4両すべて紹介したところで、主回路システムについて考察をば。
今のところ見た目的な推測として述べられるのが「1C4M1群のVVVF装置が中間車2両に各1台ずつ搭載」ということ。
では中間車2両が電動車なのかというと、それは通常の京急車ではなり得ません。
京急線の車両は必ず先頭車を電動車とする必要があるからです。
地上設備もそれを前提に検討されている為、容易にこの規程を破ることはできません。

ではどのようなユニット構成なのか?
私としては、恐らくこうなっているのではと考えます。

先頭車2両は4軸とも動軸とした電動車、中間車2両はいずれも完全な付随車としたもの。
なんとなくですが裏付けもありまして、下から眺めたアングルで

左写真が先頭車の台車で右が中間車の台車なのですが、先頭車の台車2箇所×2両にだけ、主電動機や駆動装置と思しき影が浮かんで見えるんですよね。
(動画だともうちょっと違いが浮かんでいたのですが・・・)

この「主回路装置と主電動機とを搭載する車両が別」なユニット構成は、極めて珍しいのではと感じております。
一般に電動車が主回路装置を搭載しない例は時々あって、MM'ユニットのM'側なんかが該当します。
京急車では旧1000形や銀千にM2系がありますね。
ところが、付随車が主回路装置一式を搭載して、主回路装置を持たない電動車を制御するとなると、一気にレアケースとなります。
私が書籍等でしらみつぶしに調べた限り、日本国内で今まで製造・運用された電気車でこのようなユニット構成を採用していた例は、札幌市交の7000系電車の1例のみでした。
つまり国内2例目なのかも。



なぜ1890番台の制御電動車は主回路装置を持たないのか。
ひとつ予想として考えられたのが自重の低減です。

新1000形1800番台の制御電動車(M2uc1形とM2sc1形)の自重は35.0トンで、新1000形としては限界いっぱいいっぱいの質量です。
今回の1890番台を「1800番台を基本とした設計変更」という目で見ると、アコモ面にてロングシートを自動転換式座席へ変更しています。
どうひいき目に見たって自重が増えるでしょう。

先例として近鉄シリーズ21の仕様を比較してみたのですが、制御付随車でL/Cシートの有無が異なるク5320形とク3120形との自重の差は1.0トンでした。
ク5320形のL/Cシートは9列、かなり雑な概算で1脚あたり0.1トンの増加と考えられます。
京急車に話を戻して、1890番台の制御電動車車内の自動転換座席は7列半ですから、やはり0.75トン→切り上げて1.0トンの覚悟が必要でしょう。
1800番台の制御電動車に1トン積み増したら36.0トンで、限界オーバーです。

ところで限界とは?
これは1号線直通車両規格にて取り交わされている、「自重/35トン以下とする」の文言によって定められています。
即ち都営浅草線へ直通可能な仕様を満たすには、自重35トンを超えてはなりません。
1890番台はキワモノ(?)と言えど新1000形ですから、1号線直通車両規格に準拠させる必要性があると設計検討上判断されたのだと考えるのが私の推測です。
さすれば回転式座席で増えた質量分を軽量化する必要性に迫られ、かといって主電動機は降ろせない事情から、その他の主要機器ほとんど全てを中間車へ詰め込んだ経緯が成り立つかと。

以上の考察を簡単にグラフ化してみました。

なんとなく分かっている数字とか推測される数字とかを足し引きしてみると、1890番台の制御電動車はだいたい34トンくらいになってるんじゃないかなーっていう推定に。

関連して湧く疑問としては、中間車を電動車にしなかったとこですね。
1800番台の中間電動車(M1u1形とM1s1形)は33.0トンなので、上限まであと2トンの余裕があります。
でもそのうち1トンは回転式座席に、残り1トンで水洗式便所に加えてCP2台or補助電源装置を載せなければいけません。
あーやっぱ無理そう、主電動機降ろして更に2トンくらい余裕欲しくなっちゃいますねこれは。



・・・と、つらつらとここまで自重について思いの丈を書き連ねていったら結構な文章量になっちゃいました。
VIPPERには読めない、いかんいかん。
他にもMBSAの緩解音が変わっちゃったのがショックでしにそうだったり、BCBが行方不明で心配だったり、台車がTH2100系で大歓喜だったりでいろいろ思いが募るっておるのですが、きりがないので今日のところはやめときます。


さいごに、現地で床下ヲチしてくれた上に快く資料を恵んでくれたいつもの後輩ぐるんぱ★ちゃんありがとうごぜーました!
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