この夏は静止型インバータ(SIV)の話題が熱いです。
2023年7月末頃に、600形の6011編成がSIVを新型へ換装して出場してきました。

この換装(改造)のためか平日朝晩ばかりの限定運用が続いておるのですが、今朝がんばってキャッチしてきましたよ～

まずは機器の外観を。


静止型インバータ(SIV)装置の本体で、形式はRG4106-A-M形、製作メーカは東洋電機製造。

側面へ張り出したヒートシンクが目を引きますね。
一見すると最近のVVVF装置が付けている1C4M型のﾊﾟﾜｰﾕﾆｯﾄっぽいですが、斜めがちに見ると奥行きが浅く、発熱率≒定格容量の違いを感じます。
ヒートシンクに向かって左側はハンドルで開ける点検カバーなので、こっちにアンプとかの制御機器が入ってそうですね。

SIVのレール方向寸法は推定2500mmで、換装前のSVH85-461-A-M形とほぼ同等のサイズ感です。


SIVの左隣は静止型インバータ接触器(IVC)です。
外観の通り、東洋がよく作っているいつもの高速度遮断器です。
形式もいつもの系列で、SA419-X-M形。


SIVの裏に位置する山側に吊っているのは、静止型インバータ変圧器(IVT)です。
SIVから出力された三相交流を所要の電圧へ変圧したり、あと蓄電池電源として整流する機能を持ちます。
形式はS4427-A-M形。
レール方向の寸法は推定1700mmで、こちらも換装前のIVT(R1012-A形)とおおむね同等でした。

これら機器の筐体外観より、現状の機器筐体に対して艤装上の互換を意識して設計されたのかな、と推測します。
実際、汚れの程度を除いては600形の床下の空間へﾋﾟﾀﾘと収まっていますもんね。

ちなみに当然っちゃ当然ですが、換装の対象は6011編成が搭載する4台すべて。
具体的には デハ6012号車(M2)・サハ6014号車(Ts)・デハ6016号車(M2')・デハ6018号車(M2c)。
一部の車両でお試しとか、搭載台数を減らしたりはしていません。
ﾂｲｯﾀｰにうｐされてた久工試走線の編成ｻｲﾄﾞﾋﾞｭｰ動画は壮観でしたよｗ

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600形車両の全体的な改造範囲について。
汚い写真で恐縮ですが、代表例でデハ6022号車の海側と山側の全体的な姿を。


SIV・IVC・IVTの3点以外で、改造を受けたと見られる機器はありませんでした。
低圧電源にて駆動されるCPの電動機や冷房機は、汚れの付着状況より一切改造されていません。
また受給電接触器箱(SDC)も同じく汚れたままで、こちらも改造されていないと見られます。
更に運転台にあるAC電圧計の指針は、換装前と変わらず200Vとのこと。

これら情報を総合するとRG4106-A-M形は、600形が新製時より取り付けていたSVH85-461-A-M形と、艤装・性能・機能いずれについても完全互換仕様として製作された可能性が高いと推測します。
鉄道車両の電機品に対して耐障害性や冗長化が強く求められる現代で、ここまでｼﾝﾌﾟﾙかつ小型なSIVが新規設計されたことにちょっと驚いています。
ていうか私は小型・軽量・シンプルが性癖なので、このRG4106は非常に刺さります。

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ところで京急車が補助電源装置を換装する事例は、最近のﾕﾆｯﾄ組む様なｼｽﾃﾑで設計された電車では初めてですね。
主回路は舶来品の排除だったりMT比低減だったり廃車発生品の活用だったり、事例いくつも思いつくのですが。


噂に聞くところでは1500形と600形のSIVが最近どうも調子が悪いようで。
古いものでは経年36年とかなんで、他の私鉄で同世代現役のｸﾙﾏは換装それなりに進んでる傾向から見て、京急車でも割と限界なのでしょう。

そして東洋電機が完全互換なSIVを作ってくれるところ素晴らしいですね。
量産が望めない用途にいつも対応してる東洋電機、ほんとうに推せる電機ﾒｰｶですわあ！


あと気になるのが、三菱製のNC-FAT75A形SIVを付けた編成はどうなるんでしょうね？
具体的には 6021-・6041-・6051-・6071- の4本で、こっちの方が多数派です。
600形の低圧電源システムは東洋と三菱とで互換があるので、東洋の新型へ一本化も無理じゃない気がするのですが。
もしくは三菱も新型作ってきたら激アツ展開ですねｗ

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既存車両の改造は現状のシステムや艤装と調和させながら新しいものを組み込んでいく工夫が見れて、新製車両とは違った楽しみがありますね。
このRG4106-A-Mがこの先どれほど増えてどれくらい先まで運用されるのか、今後も追っかけていきますよ～