京急の鉄道模型を作っているとき書くよ。 面白い床下機器を見つけたとき載せるよ。 東杏電機製造(トウキョウデンキセイゾウ)のお知らせをするよ。
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ちょっとだけ車体のハナシをさせてください。
前回記事の取材でVVVF装置の銘板ハンティングをしていた際の気づきなのですが、

新1000形16次車の8連、編成番号で言うと1177編成と1185編成にて、幕板部の赤色カラーフィルムが部分的に劣化して裂けた状態となっていました。
最初に見掛けたときは「こんなこともあるんやなー」くらいに思っていたのですが、沿線滞在中に注意深く観察してみると対策と思しき改造が見られて興味深かったので、まとめておきます。




まずフィルムが劣化している箇所の構体の構造について、素人知識で恐縮ですが簡単に説明します。(間違ってたらごめんね)

ステンレス製の部材同士をくっつける箇所には、重ね合わせて“のりしろ”を設けるのが一般的です。
このとき、構体の内側は補強部材等を取り付ける都合からツライチ形状が望ましいため、上方の部材を外側へ折曲げ、“せぎり”と呼ばれる段差を付けます。


新1000形16次車は無塗装ステンレスの構体表面を広く彩色するため、カラーフィルムを平面領域に加えてせぎり部分にも貼り付けています。
カラーフィルムは柔軟な母材に粘着剤を塗布して作られるため、正常であればせぎり部分でも上図の通りステンレス部材に密着できます。


ところが16次車の8連では、新製して何年か経った頃より、上図の通りせぎりの凹曲げ部分でカラーフィルムが構体から剥離し、浮き上がった状態となっていました。
浮いた部分のフィルムは直射日光を受けて生じた熱を構体側へ逃がせないので、特に高熱となって早期劣化に至ったのではないかと予想します。(素人並の推定)

ちなみに、16次車の6連(1601&1607編成)や4連1800番台(1801&1805&1809編成)も浮上りを確認してきたのですが、微小範囲で認めたものの、遠目には外観上問題無い感じでした。
8連の2本にだけ何か特異な変化点でもあるのでしょうか、不思議ですね。



そんなわけで冒頭写真の如く、当該2編成中の大半のクルマが現在チリチリな状態になっています。
ところが2023年5月上旬時点の1185編成においては、一部箇所において補修や改造と思しき処置が施されていました。
試行錯誤しているのか、いくつかのバリエーションが確認できたので、気付いた範囲で紹介します。

【補修】

劣化した範囲の上下数十mmの幅について、新品のカラーフィルムへ貼り替えがされています。
これはデハ1192号車の#3側扉と乗務員扉との間(海山共)で施されていました。

【改造1:折曲部除去】

カラーフィルムの剥離を生じている幕板の折曲部のみ、カラーフィルムを除去しています。
近寄って見るとこんな感じ↓

せぎりの平面部分にはカラーフィルムを存置しているので、遠目には車両全体のカラーリングの印象に大きな変化はありません。
この処置はデハ1192号車の海側#2~3側扉間でのみ施工されていました。

【改造2:せぎり部全面除去】

幕板のせぎりに係る折曲部から下ぜんぶの赤カラーフィルムを剥がしてしまっています。
まぁ大胆だこと!
デハ1191号車の山側が全面的にこうなっていました。

隣のデハ1192号車(左)と当該のデハ1191号車(右)とを見比べてみましょう。
 
赤色の面積が減り、見た目の“重量感”が軽くなった印象あります。


以上の写真は先述の通り5月上旬時点撮影でして、この記事を書いている5月下旬で現車がどーなっているかは存じませぬ(
ていうか1185編成は落成が2017年なので、今年2023年には車齢6連を迎えて全検入場の時期なんですよね。
検査出場時には上記3例のいずれかの処置が展開されているのでしょうか・・・?



以下、完全に個人的な主観のハナシです。

全面カラーフィルムの銀千が出てきたとき、武骨さと美観とが調和した外観に一目惚れでした。
広い平面は鮮やかな赤とまろやかなアイボリーに彩色されながら、扉や窓のフレームがギラリと銀色に輝くアクセントがたまりません。
加えて鉄道車両としての機能面でも、外板へのパテ盛りが最小となるので幾分軽くなり、走りに好都合です。
そんなわけで、後発の全面塗装な銀千が出てきても、私の中では16次車こそ特別な存在でいます。

デハ1191/1192号車で部分的に行われていた改造(除去)は、個人的な好みで言えば、京急車のアイデンティティである紅白の比率が狂っており、好ましくない印象です。
願わくば、現状から変えて欲しくないなぁと。
6連や1800代のフィルムでは問題無く使えてますし・・・


ゆーて鉄道車両は適切にメンテナンスが可能な状態で維持されるべきですので、運用実態を反映した変化も止むを得ないでしょう。
これからも赤くて軽快な16次車の走りを応援していきます。
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