京急の鉄道模型を作っているとき書くよ。 面白い床下機器を見つけたとき載せるよ。 東杏電機製造(トウキョウデンキセイゾウ)のお知らせをするよ。
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大手メーカ製の鉄道車両用 空気圧縮機(CP)にて運転検査の不正があったとのことで、(記事執筆時点で)連日話題になっています。
鉄道車両において圧縮空気は最も高い信頼性が求められる基礎ブレーキの作動流体となるので、搭載装置類の中でもCPの重要性はかなり上位と評すことが出来るでしょう。
(空気圧不足の際は起動を防止する機構が定められているため、不具合が直ちに重大事故へ繋がるわけでも無いのですが)


さてそんなCPについて、そういえば京急車が現在使用している機種一覧が無いかもなぁと思ったので以下にまとめましたよっと。
なお記載した情報は特記無き限り2021年7月時点です。
よろしくどうぞ~


● C-1500LA形

・メーカ: 三菱電機
・圧縮機容量: 1500 L/min
・圧縮方式: 往復動, 低圧室*1+高圧室*1
・搭載車種: 1500形 全車, 600形 1~3次車
・投入期間: 1985~1995
・稼働台数: 107 台

往復動タイプのCPとしてオーソドックスな形態をしています。
上写真むかって左側が電動機で、右側の圧縮機本体へ収まっているクランクにてピストンの圧縮作用を得ています。

シリンダ配置は見ての通り水平2気筒ですが、2つのシリンダは直列に接続されています。
これは空気を一気に高圧まで圧縮すると発熱してエネルギ効率が悪くなる現象を緩和する工夫です。
左の低圧側(上流)と右の高圧側(下流)との間には放熱器が接続されており、圧縮空気の過熱を防いでいます。
裏から見た写真があるのですが↓、ラジエータの如く無数の襞を持った構造を見ることができます。



● C-2000LA形

・メーカ: 三菱電機
・圧縮機容量: 2000 L/min
・圧縮方式: 往復動, 低圧室*2+高圧室*1
・搭載車種: 600形 4次車
・投入期間: 1996
・稼働台数: 15 台

上述のC-1500LA形を基本として、低圧側のシリンダ数が1室から2室へ増えた様な外観の水平3気筒タイプです。
空気は圧縮すると容積が減るので、2つの低圧室で大量の空気を圧送しても高圧室は1室のみの容積で十分なのです。


● SL-22形

・メーカ: クノールブレムゼ
・圧縮機容量: 1600 L/min
・圧縮方式: スクリュー
・搭載車種: 2100形 全車, 新1000形 8連 1~5次車
・投入期間: 1998~2006
・稼働台数: 38 台

京急としては初の海外メーカ製CPでした。(もしかしたら創業時のクルマにあるかも?わかんね)
2100形の新製にあたって海外製の機器を積極的に取り入れる思想があったとのことで、本機の採用もその一環だったのでしょう。
あと2100形の設計時期は円高がすごかったので、その点でも買いやすかったのかな?とか思います。

圧縮方式は鉄道車両向け国内製ではたぶん無いと思われる、スクリュー式です。
1対の螺旋溝を切った回転体が噛み合いながら回ることで、流体が圧送される原理だそうな。
んで、潤滑油を兼ねたオイルを圧縮部へ供給することで空気が熱を奪われ、過熱による効率の低下を防ぐ工夫をしているとのこと。
中身見てみたいものです。


● SL-6形

・メーカ: クノールブレムゼ
・圧縮機容量: 800 L/min
・圧縮方式: スクリュー
・搭載車種: 新1000形 4連 1~5次車 (除:1405号車)
・投入期間: 2002~2006
・稼働台数: 23 台

上述のSL-22形の小容量タイプです。
SL-22形では8連の編成を2台のCPで賄っていたのですが、新1000形で新たに4連が組成されるにあたり、2台で適正な容量のものとして選定されたのでしょう。
ちなみに冒頭で述べたとおりCPが使用不能になると基礎ブレーキが効かなくなるので、冗長性のために必ず編成中2台以上搭載するのが京急車の設計思想です。


● MBU1600-Y形

・メーカ: 三菱電機
・圧縮機容量: 1600 L/min
・圧縮方式: スクロール
・搭載車種: 新1000形 6~19次車 (除:1301編成)
・投入期間: 2007~2019
・稼働台数: 110 台

新1000形の6次車からは国内メーカへ回帰の方向となり、主回路と併せてCPも三菱電機製へ戻りました。
編成長は8連/6連/4連とバリエーション豊かですが、CP容量は本形式に集約されて編成長に関わらず2台/1編成の搭載としました。

圧縮方式はスクロール式と呼ばれ、渦巻形の仕切を2枚組み合わせて相対運動させ、流体を軸心側へ圧送するもの。
一般産業用途では圧縮機のほか真空ポンプ用途として広く用いられている構造です。
起動音が特徴的なので内部の機器構成が気になるところですが、ギッシリ詰まっていてちょっと覗いただけではいまいち不明なのです・・・


● VV90-T形

・メーカ: クノールブレムゼ
・圧縮機容量: 625 L/min
・圧縮方式: 往復動, オイルフリー
・搭載車種: 新1000形 1405号車
・投入期間: 2010
・稼働台数: 1 台

換装で1台のみ投入されている異端機。
2010年にデハ1404号車搭載として突如現れ、本記事執筆時点では移されてデハ1405号車に載っかってます。
もう10年くらい使われてることになりますが、本形式が増える気配は無さそうですね。

構造面では、最近のトレンドであるオイルフリー仕様なところが目新しいでしょう。
従来のCPは摺動部の摩擦低減の為の潤滑油が圧縮空気と触れており、飛沫や気化した油が空気に混じって下流へ流出するリスクがありました。
オイルフリー仕様では圧縮室の摩擦低減技術によって圧縮空気がドライに保たれており、メンテナンスの負担低減や環境負荷低減のメリットがあるんだとか。


● VV180-T形

・メーカ: クノールブレムゼ
・圧縮機容量: 1750 L/min
・圧縮方式: 往復動, オイルフリー
・搭載車種: 新1000形 1301編成, 20次車
・新製期間: 2020~
・稼働台数: 6 台

上述VV90-T形の上位容量モデルです。
初採用は新1000形1301編成の換装用で、フランジ塗油器追設改造と同時に現れました。
その翌年に落成した20次車(1890番台)でも採用され、執筆時点では計3編成 6台の陣容です。
2021年度の車両新製計画では新1000形21次車として1890番台が追加投入されるとのことで、今後も台数を増やしていくものと推測されます。
一方で既存の新1000形の換装については、フランジ塗油器の追設とは必ずしもセットでは無いようで、「塗油器追加+MBU続投」な1337編成が21年7月に出場しています。



以上、「あまりにも京急訪問が開きすぎたせいで忘れかけてる主要機器の情報をおさらいしよう」の回でした~
いやマジでほんと、GWに少し乗り行ったとき1500形のSIV形式が思い出せなくてショックだったんですよ。


趣味としてスパッと諦められれば良いのかもしれないですけど、赤い電車の走りを超える快感を与えてくれる趣味ってそう無いもので。
今回に懲りず今後も楽しみ続けていきたいなと思っておる次第でして、界隈の皆様方とは今後とも再開されるであろうコミケなどで宜しくしていただければ有り難いです・・・
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